AI Overviewsが表示された検索では外部クリックが減ります。ただし2026年の主要4調査は、それぞれ違う対象を測っています。RCTでは表示時に外部クリックが39.8%減でした。

検索からの流入が落ちたとき、多くの人はまず自社を疑います。

順位が下がったのでしょうか。コンテンツが弱いのでしょうか。競合が強くなったのでしょうか。

その前に、確認しておくべきことがあります。

2026年に測定された複数の調査が、同じ方向の変化を示しています。

Googleの検索結果にAI Overviews(AIによる要約)が表示されたとき、そこから外部サイトへのクリックは減ります。

問題は「どのくらい減るか」で、調査ごとに数字が違うことです。

そしてこの数字の違いを理解しないまま動くと、打ち手を間違えます。

4つの調査は、それぞれ違うものを測っています

2026年に公開された主な数字を並べます。

一見すると「4割から6割減る」と読みたくなります。

しかし、この4つは測っている対象が違います

外部クリック総量、実ブラウジングでのクリック率、上位ページのCTR、1位のCTR。

これらは別々の指標で、同じ物差しではありません。

だから「AI Overviewsで流入が◯%減る」という単一の代表値は、本来つくれません。

数字を一つに丸めた瞬間に、その主張は元の調査より強くなってしまいます。

さらに重要な条件があります

もう一つ、見落とされやすい前提があります。

-39.8%は、AI Overviewsが表示されたときの効果です。

サイト全体の流入が39.8%減るという意味ではありません。

AI Overviewsが表示されるのは全クエリの約20%(国によっては最大37.2%)とされています。

つまり、自社の流入がどれだけ影響を受けるかは、自社のキーワードでAI Overviewsがどれだけ出るかに依存します。

この条件を落として一般化した記事が、いま日本語圏に大量にあります。

そこから逆算して施策を決めると、影響していない領域に労力を使うことになります。

そして、この件には論争があります

Googleは、Pew Researchの手法を「欠陥がある(flawed)」と評価しています。

Pew側は数値を維持しています。

つまり、これは「Googleも認めた確定事実」ではありません。

独立した複数の調査が同じ方向を示している一方、測定手法をめぐる論争が続いている、というのが現状の正確な記述です。

さらに、AI Overviews と AI Mode は別の機能です。

両者を区別せずにデータを引用している記事も存在します。

自分が読んでいる数字がどちらのものか、確認する価値があります。

では、何を測るか

ここまでを踏まえると、やるべきことは「順位をもっと上げる」ではありません。

測る対象を組み替えることです。

わたしは20年以上、Web・デジタルマーケティングの運用に関わってきました。

検索の経済構造が変わる局面は、これが初めてではありません。

広告面が拡大したときも、強調スニペットが増えたときも、そのたびに「順位」と「流入」の関係は静かに壊れてきました。

そのとき有効だったのは、順位を追い続けることではなく、順位と成果の間にある変数を、測定対象として明示することでした。

具体的には、次の3つを分けて持ちます。

  1. AI Overviews表示率 — 自社の主要キーワードで、AIOがどれだけ表示されるか
  2. 条件付きCTR — AIO表示時と非表示時で、自社のCTRがどう違うか
  3. 所有接点への転換率 — 検索に依存しない接点(メール、既存顧客、直接流入)がどれだけ増えたか

1と2が分かれば、「自社がどれだけ影響を受ける市場にいるか」が分かります。

影響が小さい領域なら、従来のSEOはまだ効きます。

影響が大きい領域なら、3を増やす以外に構造的な解決はありません。

今日やること

順位レポートを開く前に、主要キーワードを10個選びます。

それぞれAI Overviewsが表示されるかどうかを実際に検索して確認します。

表示されるキーワードと、されないキーワードを分けます。

それだけで、自社が「どちらの市場にいるか」が見えます。

流入が落ちた理由がSEOなのか市場構造なのかは、この一覧を見てから判断しても遅くありません。